差し込み便器


     



 ベッド上で便や尿をとる便器。仰臥位でお尻の下に差し込んで使用する。大きなものは陰部洗浄の場合の汚水受けとして使用することも多い。

【小型差し込み型(図1)】
A.利点:プラスチック製なので軽い。挿入しやすい。
B.欠点:特になし。
C.適応:腰上げが困難な人。身体の小さい人。
D.不適応:褥瘡がある場合、当たらないように注意が必要。
E.使用上の注意:形状が小型のため、臀部が汚染されやすい。あらかじめ容器の中に紙を当てるなどして、尿のはね返りによる汚染を予防する。

【ベッドパンタイプ(図2)】
A.利点:広い面積で尿や便がとれる。太った人にも活用できる。
B.欠点:重い。腰上げができない場合、使用が困難。
C.適応:太った人。尿や便の量が多い人。腰上げができる人。 
D.不適応:褥瘡がある場合、当たらないように注意する。 
E.使用上の注意:重いので、介護者に力がない場合、使用しにくい。ステンレス製は消毒がしやすい。陰部洗浄の場合の汚水受けにも使用できる。

【3.ゴム製(図3)】
A.利点:エアーでふくらませるので、当たりが柔らかい。腰上げができない人でも使用できる。 
B.欠点:掃除が困難。
C.適応:腰上げができない人。
D.不適応:介護者が空気を注入できない場合。
E.使用上の注意:長時間の圧迫に耐えられない人には便利である。
 
1.腰上げができる高さが問題となる。家庭で使用する場合は、高さが低いプラスチック製の小型差し込み便器を使用するのが一般的。
2.ステンレス製のベッドパンタイプは容量が大きく、衛生的だが、使用にあたっては、腰の部分にタオルを丸めて当てる等の工夫が必要となる。
3.ギャッチベッドの背上げを行うと、排泄が多少やりやすくなる。
 
 ここでは、全介助の場合の使い方を説明する。
1.はねを防止するために、あらかじめ汚物受け部にティッシュペーパーを敷いておく。
2.仰臥位の状態を側臥位にする。
3.便器を側面からお尻に当てる。
4.そのまま便器を当てた状態で、仰臥位にし、両膝を上げる。
5.尿が飛び散るのを防ぐため、ティッシュを尿道口部分に当てる。
6.使用後は腰上げを行い、便器を後方に外す。
7.上にかぶせたティッシュを汚物受けに入れ、お尻を拭く等の後始末を行う。
  このほかに仰臥位で腰上げをして使用する方法もある。