スライディングマット・スライディングマット(スライディングマット)


     



 ベッド上にてベッド下方にずり下がった人を頭部のほうへ引き上げたり、寝返りできない人を容易に寝返りさせるためのシート。ベッド上の人を持ち上げることなくソフトに移動させることができる。
 また、大きなサイズでは、ベッドに寝たままの姿勢で、ストレッチャーなどに水平に移動させることができる。小さなサイズのものでは、ベッド・車いす間で座ったまま横に移乗するときに用いることもできる。
 脊髄損傷者などでは、ベッド・車いす間の移乗時に足部や臀部を十分持ち上げることができない場合があり、座面とのずれが起こるが、このときの摩擦を減少させる目的で用いることもできる。

【サイズ】
1.フルサイズ(約1600×750o)とハーフサイズ(約550×750o)がある。
2.フルサイズは、寝返り補助、水平移乗補助に用いる。
3.ハーフサイズは、ベッド上での位置変換補助、ベッド・車いす間の横移乗補助、前方移乗補助に用いる。

【素材】
1.ナイロン地、コットン製中綿入りなどがある。いずれも洗濯もしくはドライクリーニングが可能。
2.ナイロン製(ハーフサイズ)は折りたたんで持ち歩くことが可能。ベッド上の位置変換補助や横移乗時に用いることができるが、敷き込んだまま放置することは厳禁、移乗補助では、段差や突起物があるときには適さない。
3.コットン製中綿入りフルサイズのものは、クッション性に富み、敷き込んだまま布団としても機能する。
4.ハーフサイズのものは、横移乗時の段差のショックを和らげることができる。車いす上で敷き込んだままにしておくと姿勢の崩れる原因にもなるため、移乗が終われば取り外すことが要点である。
 
 
【ベッド上の位置変換補助】
1.臀部から背部にかけてシーツを敷き込む要領でスライディング・マット(ハーフサイズ)を敷き込む。
2.膝を曲げて足でベッドを蹴ることができるときには蹴って、蹴れないときには敷き込んだスライディング・マットの縁を持って両側から2名で上方へずらす。
3.重く、体格が大きいなどマットを持って動かしにくいときには、股関節を軽く曲げ、臀部にバスタオルをかけて上方へずらす(図1-a、b)。

【ベッド上での寝返り補助】
1.シーツ交換時にシーツの下にスライディング・マット(フルサイズ)を2つ折りにして敷き込む。
2.寝返りを補助するときには、シーツの縁を持って斜め上方へ引く(図2-a)。

【ベッド・ストレッチャー間の水平移乗補助(フルサイズ)】
1.移乗先のストレッチャーとベッドの高さを合わせる。
2.移乗する側のシーツの下にフルサイズのスライディングマットを敷き込む。少し肩や臀部がかかる程度でよい。
3.シーツを持って移乗方向に引く(図2-b)。

【座位移乗(ベッド・車いす間)】
1.車いすは、アームレストを取り外すことができ、車輪が移乗のじゃまにならないものを用いる。
2.ベッドと車いす座面の高さを合わせる。
3.ベッド上で端座位にし、車いすをベッドに近づける。
4.後方より保持し、スライディング・マットの上を滑らせるように横に移乗させる。(図3)

【前方移乗(車いす・ベッド間:自立移乗)】
1.移乗先のベッド上に、足部を動かしたい方向に斜めにスライディング・マットを置く。
2.前方よりベッドに近づき、脚を片方ずつマットの上に置く。
3.車いす臀部が移乗できる位置まで近づける。
4.プッシュアップを行い、移乗する。
5.足部は、スライディング・マットによりシーツとの摩擦なしに滑り始める。
6.移乗後はスライディング・マットを取り除く。