在宅生活を支援するための基本と機器の位置づけ


在宅生活を支援する基本原則
支援の目的は単なる「サービスメニューの紹介・導入」ではなく、「問題の解決」であり、「満足度の高い生活」の実現です。

(1)本人だけでなく、介護者を含めた家族全体を視野に入れ、相談を受けましょう。
(2)相談の主訴よりも緊急的に対応しなければならない問題が隠れていることもあります。相談者が抱える問題の全体を解決する方向に支援を進めましょう。
(3)問題の背景となっている原因に本人や家族が気がつくように支援しましょう。
(4)生活意欲は本人の気持ちの持ちようだけで高まるものではありません。むしろ周囲の働きかけによるところが大きいものです。本人や家族がどのような生活を目指しているのか,考えて働きかけましょう。
(5)本人や家族の生活を大切にしながら、たとえ心身に障害があっても「その人らしさ」や「満足度の高い生活」をめざすことが大切です。
(6)「満足度の高い生活」を支援する際には、生活をデザインするという視点を持つことが必要です。
(7)そのときどきの心身の状態や支援の結果などによって、目標とする生活は絶えず変化していくものです。この変化の方向性をふまえた長期的な視点が必要です。
(8)「満足度の高い生活」を築く方向に向かっていれば、また、相談者と緊密な信頼関係が結ばれていれば、支援全体は「成功」の方向に向くでしょう。
(9)どんなによくサービスが提供され、客観的には満足できる状態であっても当事者の心が安定しなければ在宅生活は長続きしないでしょう。支援するスタッフは心の問題を受けとめながら生活の安定を支援する必要があります。
機器支援の位置づけ
福祉用具による支援は「生活のデザイン」という全体的な支援の中でどのように位置づけていけばよいのでしょうか。

(1)機器支援は生活を築くための支援の一部分
福祉用具の利用で容易に問題の解決がはかれることが多くあります。
しかし、生活実態によっては他の手段が適していることもあります。
(2)機器は目的に合わせて上手に使いこなそう。
機器支援には、自立の支援と介護(動作)負担の軽減、というふたつの側面があります。
(3)他のサービスと相互補完の関係
福祉用具の導入を決めた場合でも他のサービスとの調整が必要です。例えば福祉用具の利用と住宅改造とは一体となって運用されるサービスの代表です。
(4)機器導入は生活改善の起爆剤
はじめはベッドや車いすといった比較的なじみやすいものから導入し、使っているうちに、予想を上回る効果を実感できたりすると、機器に対する抵抗感はなくなります。あきらめたり、低下した生活レベルに我慢していた人が「まだまだ改善できるかもしれない!」と感じてくれれば、大きな自信と生活を変化させようという動機につながります。