近年、国民的ニーズが高く、着実に解決を図ることが求められている研究課題について、成果目標を設定した大規模な「戦略研究」の必要性が指摘されてきました。
このため、平成17年度から厚生労働科学研究費補助金において、従来の一般公募による研究課題に加えて、厚生科学審議会科学技術部会の意見を踏まえ、研究の成果目標や研究の方法を定め、選定された機関が実際に研究を行う者や研究に協力する施設等を公募して実施する新たな「戦略研究」が創設されました。
そして、平成19年6月25日に開催された厚生科学審議会科学技術部会において、当協会が感覚器障害戦略研究の実施団体となることが了承されました。
聴覚、視覚等の感覚器障害は、障害の程度により生活の質(QOL)をも著しく損なうことになります。
聴覚障害者は、我が国の身体障害者の約10%を占め、約36万人と推計されており、中等度の難聴者を含めると約600万人にも及び、幼少児に最も多い先天的身体障害です。さらに、聴覚障害児の一部には言語発達の遅れがみられ、この場合には学習に困難を生じるなど児童の十全な能力の発達が妨げられる恐れがあります。
また、言語発達は、療育の開始時期や内容、障害の発見時期、人工内耳の実施時期、その他の要因について関連が指摘されていますが、十分には解明されていません。
一方、我が国の視覚障害者は、約30.1万人と推計されています。高齢化の進展に伴い、視覚に障害を来す眼科疾患が急増していますが、視覚障害の発生と重症化を予防する手法については、喫煙や食生活などについて関連が指摘されているものの、十分には解明されていません。
したがって、聴覚や視覚障害の現状を十分に調査分析することにより、感覚器障害を克服し、聴覚障害児の言語能力等の向上と視覚障害の発生と重症化を減少させるための戦略研究が喫緊の課題となっています。
1 平成19年5月29日厚生科学審議会科学技術部会において、平成19年度に開始する戦略研究に感覚器障害(聴覚障害、視覚障害)に関する研究を行うことを決定。
2 平成18年度厚生科学研究費補助金(厚生労働科学特別研究事業)「戦略的アウトカム研究策定に関する研究」(主任研究者 黒川清 東京大学先端科学技術研究センター 客員教授)において、感覚器戦略研究に関する以下の2課題について研究計画の骨子が策定された。
@聴覚障害:聴覚障害者の療育の向上のための研究
A視覚障害:視覚障害の発症と重症化の予防に関する研究
3 平成19年6月25日に開催された厚生科学審議会科学技術部会において、以下の研究課題の実施と研究の成果目標及び研究の方法が了承された。
(実施する研究課題)
@聴覚障害児の療育等により言語能力等の発達を確保する手法の研究
A視覚障害の発生と重症化を予防する手法に関する介入研究
1 研究課題1 聴覚障害児の療育等により言語能力等の発達を確保する手法の研究
| アウトカム | 聴覚障害児の言語能力等の向上 |
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研究方法 |
1 聴覚障害児(0〜15歳)を対象とし、言語発達、適応度、療育の状況、聴覚障害を発見された時期や状況、人工内耳の有無等を把握することにより、相互の関係や現状を調べる。 |
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その他必要事項 |
我が国の状況を代表する調査となるよう調査対象に施設の種類や地域分布等の偏りがないよう十分に配慮することが必要である。 |
2 研究課題2 視覚障害の発生と重症化を予防する手法に関する介入研究
| アウトカム | 視覚障害の発生と重症化の減少 |
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研究方法 |
1 地域住民を対象として、眼科的情報・眼科以外の医学情報・受診状況と治療内容・生活状況と生活習慣などを集積して、それらが眼疾患の発生と重症化に及ぼす影響を解明し、それらを予防する上で有効と思われる介入手法を検討する。そのため、すでに過去に眼科的状況について調査した地域において実施する。 2 続いて眼科的状況(視力・視野・眼圧・眼底所見など)の重症化予防を主要評価項目として介入研究を行う。その際は、眼科以外の医学的状態(血圧など)や生活習慣(禁煙など)に対する介入、眼科治療コンプライアンスの改善、かかりつけ医との連携強化といったことを主な介入手段とする。 |
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その他必要事項 |
眼科的状況及び眼科的以外の身体的状況を十分に把握できる体制が必要である。 |
感覚器障害戦略研究(聴覚障害児の療育等により言語能力等の発達を確保する手法の研究)のうち、「介入研究」に協力して従事いただく方(「研究協力者」と呼称)を募集します。
介入研究協力者募集は終了しました
