貸与12.移動用リフト(つり具の部分を除く。)
1.床走行式リフト |
(図1) (図2) |
吊り具をかけるハンガーをとりつけたアームとその基点を支えるマスト、マストを支え、左右に開閉して全体を支持するベースという構造からなる吊り上げ式のリフト(図1)。ベースにはキャスターがついており、リフト自体が動くので利用者を吊り上げた状態で移動することができる。昇降動作は、片側が固定されたアームを電動、油圧などで上下させることにより行う。製品によってはアーム全体がマストに添って上下動するものもある。 また、膝の前方への屈曲を押さえ、臀部あるいは腋下を支えて持ち上げ、車輪により移動させるタイプ(図2)もある。
床走行リフトは床面の種類によって走行抵抗が大きく変化するので、選択にあたっては使用環境と介助者の能力に留意する。人を吊り上げたまま部屋から部屋などの長距離移動はしない方がよい。
2.固定式リフト |
(図3) |
この範疇のリフトは、どこに固定するかで様々な形態があり一律の説明が難しい。ベッドサイドにて使用するもの(図3)はベッドの下にフレームをしき、ベッドの重量を利用してリフトを安定させるものと、ベッドの周辺にフレームを配して安定しているものがある。ハンガーの昇降軌跡は垂直なものと円弧状のものがある。また、移動範囲にはマストを中心に円周上でしか昇降しないものと、ドーナッツ状の領域で昇降できるものがある。浴室で利用するものは、支柱を壁の四隅で突っ張って固定し、支柱を軸にして回転するアームとベルトの巻き上げを組み合わせたもの、アームの上下と軸回転を組み合わせたものなどがある。動力も電動以外に、人力巻上げ式や、水道圧利用のものがある。支柱部分を複数の場所に設置し、駆動部分は持ち運んで使用できるものもある。
ベッドに固定するタイプはアームの長さの範囲でしか移乗ができないが、スペースを取らないメリットがある。浴室、玄関などに支柱を張るタイプのものは、天井や床の強度が設置可能かどうかが大きなポイントとなる。安全面から工事で支柱を固定する必要がある場合もあることに留意したい。また、吊り下ろしたいポイントとアームの長さから、支柱の位置の範囲は決まってくる。 浴室用のうち、水道圧を利用するものは、水道圧が低いと利用できないのでこれも事前の確認が必要となる。
3.据置式リフト |
(図4) (図5) |
寝室のベッドの上などに門型のやぐらを組み、本体部分が上のレールに添って移動、本体下面から伸びるベルトの下にハンガー(吊具をかける部分)が取り付けられ、モーターによるベルト巻き上げで身体を吊り上げるもの。レールの範囲内での横移動が可能である(図4)。やぐらの脚を部屋の四隅に立て、本体がそのレールに沿って左右に移動する動きと、そのレール自体が縦に動く動きの組み合わせで、利用者を吊った状態で部屋の中でのどの場所へも移動させることができるタイプもある(図5)。
据え置式の利点は、床の面積を取らずに部屋の中の移動ができ、天上にレールを固定するリフトのように住宅改修を必要としないところにある。ただし、門型の場合はやぐらのベースの部分はデッドスペースになり、どの形にやぐらを組んだものも支柱の間近に吊り下ろすことはできない。どこへ移動するのかを考えてやぐらを設置する必要がある。なお、ポータブル式のものは、別の部屋に設けたレールに本体部分を架け替えて使用することができる。
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