住宅改修情報

脳出血による四肢体幹障害 車いすに対応し大幅な改修を行った例

基本情報
年 齢 70歳 同居家族構成 一人暮らし
性 別 女性 主介護者 隣家に娘家族が住み、娘が毎日介助
疾患名 小脳出血、くも膜下出血、他 家屋の所有形態 持ち家
障害部位 四肢体幹機能障害、構音障害、嚥下障害 家屋の建築形態 一戸建て
要介護度 要介護5
身体障害者手帳1級
周辺環境 都市部の住宅地
日常生活の状況(改修前の状況)
起 居 全介助 排 泄 全介助
移 動 車いす全介助 入 浴 全介助
移 乗 全介助 介護サービスの
利用状況
改修前:なし(入院中のため)
改修後:身体介護(毎日)、訪問看護(週2回)、通所介護(週2回)、ショートステイ
実際の改修箇所
カメラ 図面のこのマークにマウスをのせると実際の写真が表示されます。
改修前の状況
改修前
改修後の状況
改修後
住宅改修の概略
問題点 日常生活全般に介助が必要だが、車いすで生活できる環境が整っていない。
  • 居室:入り口が開き戸で段差もある。
  • トイレ:車いすで便器のところまでアプローチできない。入り口に段差がある。介助スペースがとれない。座位を保てない。
  • 浴室:入り口に段差があり、シャワーキャリーでアプローチできない。浴槽が小さく介助困難。浴槽の出入りの介助困難。
  • 玄関:段差があり、車いすでの出入り困難。
  • 動線:居室からトイレ、洗面室、浴室までの経路に問題がある(段差があり、扉が開き戸であり、スペースがない)ため車いす等がトイレや浴室の前までしかアプローチできない。
家族・本人の要望 車いすで生活しやすいようにしたい。費用はある程度かけるつもりでいる。
住宅改修の目的 日常生活全般に介助が必要なため、車いすで移動できるスペースと介助スペースをつくる。
福祉用具の導入も行い介助の軽減をはかる。
住宅改修の場所と内容
  • 居室:入り口を開き戸から引き戸に変更、トイレへの引き戸を新設。
    段差解消。
  • 動線:トイレ・洗面・脱衣室、および階段前の廊下部分を一室とし、トイレおよび浴室への移動スペースとする。
    洗濯機は移設、洗面台は台所に新設した。
  • トイレ:便器の向きを変更し、居室からの動線を単純にした。便器は背もたれ、手すり、洗浄機能付き便器に変更。たて手すり取り付け、手洗い器設置。
  • 浴室:入り口段差を解消、入り口を3枚引き戸とする。浴槽変更、手すり取り付け、入浴用リフト設置。
  • 玄関:居室側に娘宅と連絡できるスロープを作成。ただし、駐車場が玄関隣にあるため日常の出入りは、玄関から車いすを後ろ向きに介助する方法で行っている。(スロープはあるが使用していない。)
支援チームの構成 ケアマネジャー、建築士、工務店、PT・OT、エンジニア(入浴用リフト適合アドバイス)
福祉用具
支援前 車いす(補装具として給付)
支援後 レンタル:入浴用リフト
購入:シャワーキャリー
給付:特殊ベッド(3モーター)・ベッドサイドテーブル、スロープ
改修後の評価
本人、娘とも使いやすいと満足している。
残された課題
今回の改修は、介助者である娘も使いやすいと満足している。しかし、ベッドやトイレへの移乗、玄関からの車いすの出入り介助など、介助者にかかる負担は大きい。今後さらに介護軽減への検討が必要となろう。