住宅改修情報

浴室は改造したが、病院からリフトの設置を反対され、中途半端になった例

基本情報
年 齢 68歳 同居家族構成
性 別 女性 主介護者
疾患名 多発性脳梗塞 家屋の所有形態 持ち家
障害部位 右上下肢麻痺、左下肢麻痺、言語機能障害 家屋の建築形態 一戸建て
要介護度 要介護5 周辺環境 中小都市の住宅地
日常生活の状況(改修前の状況)
起 居 全介助 排 泄 ポータブルトイレ(オムツを併用)
移 動 屋内:車いす(介助)
屋外:車いす(介助)
入 浴 シャワー浴のみ
移 乗 全介助。ほとんど立位がとれないため、抱えるようにして移動 介護サービスの
利用状況
改修前:ヘルパー(週2回)
訪問看護(週1回)
改修後:ヘルパー(週2回)
訪問看護(週2回)
実際の改修箇所
カメラ 図面のこのマークにマウスをのせると実際の写真が表示されます。
改修前の状況
改修前
改修後の状況
改修後
住宅改修の概略
問題点
  • 浴室内にシャワーキャリーを持ちこむとドアが閉められないため、脱衣室からは2人がかりで浴室内へ移動する。移動時、介護力の大きさと安全性に問題がある。
  • 2人がかりで浴槽に入ることは危険であり、現在シャワー浴しか行われていない。
家族・本人の要望
  • シャワー浴のみでは体が温まらないため、浴槽に入れたい(特に冬期)。
  • 周辺が落ち着いた住宅地であり、天気の良い日に家族のみでも散歩に行けるようにしたい。
  • 排便だけでもトイレに行かせたい。
住宅改修の目的
  • 介助者一人で入浴を可能にする。
  • 夫の介助で外出が容易にできるようにする。
  • 車いすに乗せてトイレまで移動ができるようにする。
住宅改修の場所と内容
  • 浴室:出入口を3枚引き戸にし、有効開口幅を大きくする。
    浴槽の位置、高さの変更。
    床を洗面所の床と合わせ段差を解消する。
    入浴用リフトの設置。(病院側より必要なしという意見があり中止)
  • 洗面所:出入口を移動し、開口幅を大きくする。
    車いす対応の洗面台に変更する。
  • トイレ:出入口をドアより引き戸に変更し、開口幅を大きくする。
    車いすで使用しやすいようにスペースを広くする。(病院側より必要なしという意見があり中止)
  • 庭:庭を削り取り、段差解消機を設置。
    石張りの通路、アルミ門扉を新設する。
    通路部分は、雨天時でも外出がしやすいように屋根を架ける。
支援チームの構成 ケアマネージャー、ケースワーカー、建築士
福祉用具
支援前 介助用車いす、2モーターベット、シャワーいす、ポータブルトイレ
支援後 シャワーキャリー、段差解消機
改修後の評価
  • 検討途中に浴槽に入ることはないと、病院より連絡があり、リフトの設置を中止した。病院としては、無理に入浴させる必要はないといった理由である。
  • リフトの設置が中止になったことにより、浴室、トイレとも使用目的が不明確な中途半端な改修となった。
  • 道路までの高低差は大きいが、段差解消機の設置により外出が容易になった。
  • 外出時、裏口から出るようなイメージを与えたくないため、費用はかかったが玄関と同じような門扉を取り付けた。そのことにより外出時の雰囲気が明
残された課題
入浴、排泄時の問題はほとんど解決されていない。
医療的に問題のない障害者と家族の要望を、どのようにして医療関係者サイドに理解させるかが今後の課題である。