住宅改修情報

住宅改修により、自立の程度が上がってきている事例

基本情報
年 齢 88歳 同居家族構成 長男
性 別 女性 主介護者 長男
疾患名 急性散在性脳脊髄炎 家屋の所有形態 持ち家
障害部位 両下肢機能全廃、両上肢機能の著しい障害 家屋の建築形態 1戸建て、築45年、木造2階建
要介護度 要介護3
身体障害者手帳1種1級
痴呆症状レベルI
周辺環境 寒冷地、降雪地域、商業地域
日常生活の状況(改修前の状況)
起 居 部分介助 排 泄 ポータブルトイレ
失禁も時々あるため、オムツも併用
尿意、便意共にある
移 動 自立歩行および車いすでの介助移動 入 浴 一部介助
週2回のデイサービスで入浴
移 乗 介助
バランスを崩しやすい
介護サービスの
利用状況
改修前:デイサービス(週2回)、ホームヘルパー(毎日5回)、訪問看護(月2回)リハビリ等
改修後:なし
実際の改修箇所
カメラ 図面のこのマークにマウスをのせると実際の写真が表示されます。
改修前の状況
改修前
改修後の状況
改修後
住宅改修の概略
問題点 店舗を通って土間縁から居間・居室などの段差が580ミリある。
また寝室および居間からトイレへ行くためには、勝手口になっている部分を越えなければ車いすでも近づけない。
杖で移動しても、体勢が不安定な状態では転落する恐れがあるため、この部分を床と同じレベルにする必要がある。
家族・本人の要望
  • 本人は自分でトイレまで行き、一人で排泄したい。
  • 最近は症状が落ち着いて、何か支えがあれば5メートル程度は歩くことができるようになった。
    杖でゆっくり歩くこともできる。
    デイサービスの無い日は一日中家の中にいる生活なので、自分で歩く意欲があるうちは自分でトイレに行かせたいと家族は思っている。
住宅改修の目的 家屋内の移動および、トイレへの移動をスムーズにできるよう、間仕切り撤去および段差解消、手すり取り付けの改修を行い、家族に対する介助負担の軽減と本人の自立意欲を支援する。
住宅改修の場所と内容
  • 居室:台所との間仕切壁および敷居の撤去。床仕上げは既存居間と同仕様でフローリング。
  • 台所:土間縁に出るための勝手口があるが、床レベルから580ミリ低い位置に出入口がある。
    ここはトイレへの通り道になり、車いすでは通れない。床はクッションフロアーで滑りやすい。
    このため、勝手口部分の床組みおよび床仕上げ新設。
    勝手口出入り建具を撤去して壁を新設し、居間からトイレまで横手すり新設。
  • トイレ:隣の台所床レベルと段差は無い。
    また、車いすごと接することは出入口も狭く不可能。
    便器は洋式便器で水洗工事は完了している。
    出入口両脇に縦手すり2ヶ所、トイレ内部L型手すり1ヶ所、横手すり1ヶ所、縦手すり1ヶ所新設。
支援チームの構成 ケアマネジャー、OT、建築士、施工業者
福祉用具
支援前 車いす、杖
支援後 杖の先ゴム(購入)
改修後の評価
  • 支援者:改修工事を行う事前調査の時点と比較して、杖で車いすから立ち上がり、取り付けた手すりまで約4メートルをゆっくり歩く足取りは軽快で、「よいしょ、どっこらしょ」の掛け声を自分で掛けながら歩いて見せてくれたときは感激した。
    また、トイレの中でも一人で使用できると、自ら進んで動いて見せてくれた。
    最近はヘルパーが訪問するとトイレを済ませていることも度々あると言う。
    以前からとても明るく話し好きな方であったが、前以上に話しが弾んで喜びが感じられるようになりよかった。
  • 本人:手すりがついて本当に良かった。
  • 家族:自分でトイレを使えるようにさせたいと思い、今回住宅改修をしてみたが、しっかり歩けるようになり驚いている。
    居間と台所の間仕切りが無くなったことで見守りもしやすく、安心できるようになり、本当に良かった。
残された課題
屋内の移動および日常生活で支障をきたさないことを目的に改修を行ったが、一番大きな課題としては、外への移動手段がヘルパーや家族のマンパワーによる移動になっていることがある。しかし車いすで自力で外出するには、店鋪部分にスロープを取り付けるか段差解消リフト等を導入する必要がある。