住宅改修情報

大腿部切断。自立した排泄のための改修を行い、可能になった事例

基本情報
年 齢 83歳 同居家族構成 長男夫婦・孫夫婦・ひ孫の四世代家族
性 別 女性 主介護者 長男の妻
疾患名 右下肢閉塞性動脈硬化症 家屋の所有形態 持ち家
障害部位 右大腿部の半分から下を切断 家屋の建築形態 一戸建て
要介護度 要介護2 周辺環境 田園
日常生活の状況(改修前の状況)
起 居 ほぼ自立 排 泄 自立
移 動 低床型車いすで屋内移動・自立
自室では、臀部を擦る格好で移動
入 浴 デイサービスを利用(週2回)
移 乗 自立 介護サービスの
利用状況
改修前:デイサービス(週2回)
改修後:デイサービス(週2回)
実際の改修箇所
カメラ 図面のこのマークにマウスをのせると実際の写真が表示されます。
改修前の状況
改修前
改修後の状況
改修後
住宅改修の概略
問題点
  • 床面を擦るようにして移動しているが、この方法は臀部のダメージが大きい。
  • 車いすでの移動を勧めながら、安全に快適にトイレまで移動し、負担なく排泄ができる環境の整備をする必要がある。
  • 特に車いすから立ち上がり、移動する際の身体の支えなどに利用する手すりの位置と高さが最大の問題になる。
家族・本人の要望
  • 突然の発病で右下肢を失い、臀部を支点とした移動方法になってしまった。
  • トイレまで移動し、床から立ち上がっての排泄は困難なために、トイレ改修の希望があった。
住宅改修の目的
  • 車いすから便器までのトイレ内移動と移乗を安全に行えるよう手すりを設置する。
住宅改修の場所と内容
  • トイレ:手すりの設置。車いすから立ち上がるときの支えと便器への移動・移乗の安定。
    衣服の着脱時にも使用。
    位置の検討と高さの決定が大切だった。
    便器へ着座時・排泄時の姿勢の保持に使用するためと、家族の負担や違和感を最小にするため、跳ね上げ手すりにした。
支援チームの構成 ケアマネジャー、保健婦(基幹型在宅介護支援センター)、住宅改良ヘルパー(行政・1級建築士)、
工務店
福祉用具
支援前 なし
支援後 車いす(レンタル)
改修後の評価
  • 改修によって車いすからトイレまで手すりと片足で移動できるようになり、家族の手を借りることなく排泄できるようになった。
  • 本人の精神的・身体的負担が非常に軽くなった。
残された課題
  • トイレという家族全員が使用する場所であるために、完全に本人仕様にすることは不可能である。
  • 本人の身体状況・能力と家族に負担の及ばない範囲の接点をとった改修となった。
    基本的には、廊下とトイレ床面の段差を解消することが望ましいが、便器のかさ上げなど費用がかかるなどでできなかった。